時空を超えた物語

HISTORY

今日、「弘前れんが倉庫美術館」が、弘前市民を対象にプレ開館した。

本来であれば、4月11日に開館予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために延期となっていた。今月17日からは県民に対象を広げ段階的に広くオープンしていくという。

コロナウイルスの今後の行方を注視しながらの開館ではあるが、まずは今日の開館を素直に喜びたい。 そして、113年前にこの煉瓦の巨大な建物を作ったレジェンド・福島藤助に感謝と敬意を表したい。

コンクリートがまだ一般に普及していなかった明治40年代、煉瓦づくりの建物が頑丈で最良のものだった。しかし、煉瓦づくりの建物は大変大がかりな工事で、経費もかかり、倉庫としては寒冷地に不向きなものと考えられていた。吉野町の赤煉瓦倉庫をつくった福島藤助は、建設時、そのことについて次のように語ったという。

「自分がこれからはじめる事業は全て弘前市の発展を考えてやるものであって、福島個人が子孫のためにやるものではない。確かに木造だと経費も安くすむが、仮に自分の事業が失敗すると誰かの人手に渡ってしまう。そうなると木造だとすぐほごされ、跡が残らなくなる。煉瓦だと簡単にほごすことができないから残れば必ず何かの役に立つはずである。自分は今事業に失敗しても悔いはないが、これらの建物が弘前市の将来のために遺産として役立てばそれでよいのだ」 (「ここに人ありき」昭和45年陸奥新報社から引用)

時空を超えて、福島藤助の願いが成就しました。

今日から新しい弘前煉瓦物語が始まります。

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