自分たちの日常は、旅人にとっては異日常

on the street

昨夜、急遽、栃木県からまち歩きツアーにご参加のご夫婦をアテンドすることに。 昨夜はいい具合にシンシンと雪が降り、ライトアップされた洋館や、弘前城の冬ならではの風景の数々にご夫婦は大喜び。 連日の大雪との格闘で、市民は疲労困憊気味で、雪はもう見たくないという人が多いと思うが、雪が珍しい地方から来た人々にとっては、正に想像通りの望んでいた最高のロケーション!最後までテンションが上がりっぱなしだった。特に旦那さんは目をランランと輝かせ、写真を撮りまくっていた。私が驚いたのは、軒先の「つらら」を楽しそうに撮影する姿であった。私たちにとっては生まれた時から見慣れた冬の一場面。もはやあらためて感動することのない「雪国あたりまえにアルアル」なのだが、雪があまり降らない地方から来た人にとっては「憧れ」の風景とのこと。

ツアーで案内していると、私たちの当たり前が、旅人にとって、好奇心を揺さぶる「何これ!?」や「憧れ」である場合があり、住み慣れたことで気づかない、ついつい忘れてしまっている自分たちの街の個性や価値に気づかされることがしばしば。私たちの飾らない等身大の日常こそが実は最良の観光資源なのかもしれない。 反対に自分たちがぜひ自慢したい、売り込みたいと思っているものが旅人の琴線に触れず、思いのほかリアクションが薄い場合もあったりする。

昨年設立した某市のDMOの方から以前聞いた話だが、そのDMOが某情報関連会社と提携し、その市に求める旅人のニーズを分析したところ、自分たちが上位に入るだろうと信じていた伝統的なお祭りの認知度が思いのほか低く、反対にノーマークであった新しいイベントが驚くほど上位に食い込んでいてビックリしたという。そのことから自分たちの常識、認識と、旅人の認識には乖離があることに気づき、根拠のない思い込みではなく、リアルなデータ分析が重要であると目から鱗が落ちたそうだ。 弘前市でも津軽14市町村を圏域としたDMO設立を目指し現在準備中であるが、DMOの役割の一つはここにあると思う。リアルなデータから本当に旅人が欲しているものは何かを導き出すこと。そして、旅人のニーズが多様化する中で、欲しい人に欲しいものや欲しい情報をキッチリとマッチングさせる環境づくり。もっと言えば、自分たちの街のストロングポイントとウイークポイントを冷静に把握し、戦略を練り、戦術を打つこと。

戦略だ!戦術だ!と、ついつい熱くなって書いてしまったが(笑)、いずれにしても、いつの時代も旅の面白さは他所の「光」を見ること。それだけは不変であるはずだ。

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